森の風

「有限会社 在宅支援チーム フォーレスト」のブログです。
訪問看護(含訪問リハビリ)、福祉用具貸与、自助具作成支援通所介護・・・といった当社での活動記録を掲載しております。

※掲載されている写真は、個人情報保護法に基づき許可を得て掲載されています。


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認知症の人と家族の会全国総会
 去る6月1日から二日間にわたり、京都市で家族の会総会が開催された。梅雨入り後にもかかわらず好天に恵まれ、47都道府県より266名の会員が参加し、熱い議論や情報交換が交わされた。

 今や認知症に罹った方の人口は全国に462万人、軽度認知障害(MCI)の方が400万人とも言われる。把握されていない方も含めると1000万人になるのではないかとも言われる時代となった。超高齢化が今後ますます進むこの国において、認知症は誰にとっても人事とは言えない病気になりつつある。今回は、総会で大きな話題となったものについて幾つか紹介したいと思う。

一つ目は、
 Р雜酳欷韻砲いて、要支援者の人を介護保険から外す動きがあることについて
◆Л,謀てはまる人達が利用できるサービスを抑制する動きがあること
:,謀てはまる人たちについて利用料を引き上げる動きがあること
である。

認知症の方にとって、初期の適切な支援ほど大変重要であることは言うまでもなく、予後をも左右するものである。それ故に 銑の動きは、オレンジプランにおける初期対応重視の方向性とも矛盾することになる。
家族の会としては
・初期の人への手厚いケアこそ進行を抑制し、費用の節約になるということを提言、オレンジプランの実現と 銑の動きが現実のものとならないよう国に要望していくこと
・介護の現場からも認知症に関わる人達が互いに知恵を絞り、介護保険を後戻りさせないよう声を上げていこうということ
が確認された。
 
二つ目は、家族の会では認知症に理解のある専門職の会員を強く求めているにも拘らず、専門職の入会者が少なく、退会率が高いということである。

私見であるが、要素は大きく2つほどあるのではないかと考えている。

1つは、在宅における認知症の方の生活状況や介護の現状を知らない専門職がまだまだ少ないことである。認知症の在宅支援に携わる専門職は少数派であり、医療機関や施設で携わる方が圧倒的多数である。医療機関や施設では在宅支援と役割が異なるため、「生活」を理解するには限界がある。私自身、認知症の方の在宅支援に携わることで初めて在宅介護の大変さや壮絶さ、ご本人・ご家族の様々な想いや葛藤に直接触れ、その大切さや初期支援の重要性を実感することが出来た。在宅支援に携わる専門職が増えることで、より当事者に近い位置に居ようとする専門職が増え、家族の会への入会者も増えるのではないだろうかと感じた。

もう1つは認知症という病気の複雑さである。総会の中で、かかりつけ医に「面倒」「わからない」と言われたとか、「認知症ということで必要な入院やリハビリを断られた」等の声が多く聞かれた。また、病気をご本人やご家族が受容出来ず相談や受診まで数年要したという声も多く聞かれた。
日本では、認知症がこれまで抱えてきた歴史もあり、どうしても負のイメージがいまだ根強く残っている。近年メディアで取り上げられることが多くなったとは言え、理解はまだまだ不十分である。前述のとおり、認知症は原因となる疾患の正しい知識と初期ほど適切な支援が必要であり、予後をも左右するものである。専門職は自らの役割をしっかり自覚することが大切であると改めて実感した。

家族の会はオレンジプランに大きな期待を寄せており、今から実現に向けて専門職とのタイアップや包括支援センターとの協働を考えている。認知症に理解のある専門職の存在は今後ますます欠かせなくなっている。

宮城県支部も例外ではない。認知症に関心のある方、在宅支援に携わってみたい専門職の力を必要としている。毎月第3土曜日、榴ヶ岡公園向かいのNPOプラザにて13:00〜つどいを開催しているのでぜひともお越しあれ!!(参加費資料代100円、事前申し込みはいりません)



| 認知症・精神疾患 | 23:12 | comments(0) | - | pookmark |
おじいちゃんと鉄砲玉
 先日、タイトル名のETV特集を観た。主人公で昔海軍兵だったおじいちゃんのお孫さんが作ったドキュメントだ。

おじいちゃんは昨年亡くなられたのだが、遺骨に鉄砲の玉がくっついていたことや、遺品からみつかった手紙をきっかけに抱えていた本当の想いを模索する旅が始まったのだ。
お孫さんは、生前の話から、戦争に行ったおじいちゃんを英雄視していたという。
ところが、同じ戦闘機に乗ったという戦友達のお宅を尋ねながら、やがて驚きの現実を知らされることになる…。

昨日まで寝食を共にし語り合っていた仲間達が目の前で攻撃を受け、落ちてゆく飛行機の中から「サヨナラ」と手を振りながら次々と散ってゆく…。でも、次の日には当たり前のように幹部に「行け」と言われ、そんな日が延々と続いたそうだ。

攻撃の作戦は素人目にも稚拙であり、防弾性能に乏しい玩具の様な戦闘機で戦っても勝ち目等無いのは一目瞭然だったそうだ。しかし、幹部は戦争の現状について不利な情報は徹底的に隠蔽し、都合の良い情報や嘘の情報しか流さなかったという。

おじいちゃんは部隊の中でも後輩に指示出し出来る立場にあったそうだが、「無駄死にはするな」と口癖のように語り、その言葉に命を助けられた兵隊も多かったそうだ。あるお宅を尋ねた時、幹部に対する反抗心から、ぶっ殺してやりたいと思ったこともあったと重い口を開いて吐露した戦友もいた。

番組の最後にお孫さんが形見分けでもらった懐中時計を時計屋さんに行き、蓋を開けてもらうシーンがあった。その懐中時計は、軍隊にいたおじいちゃんが肌身離さず大切に持っていた物だったそうだ。
ようやく開いた懐中時計の中には、当時のお祖母ちゃんの写真が入っていたのだ…
それまで軍人として活躍したと英雄視していたおじいちゃんだったが、家族にどうしても打ち明けられなかった心の傷や想いがあったことをお孫さんは確信したのだった。

今の日本はどうだろうか?

大震災後、特に原発関係について正確な情報が果たしてどれだけ報道されているのだろうか?表立ったテレビの報道とインターネット上の情報は大きく乖離している印象が強い。また、情報の内容や質も様々だ。政府の体質やマスコミの報道の仕方…相変わらず不利な情報を隠蔽してはいないだろうか?番組を観ながら、結局戦後日本は何かを学習したのだろうか?と感じてしまった。

今回の震災や津波、原発関連で、多くの人が大切なものを沢山失い沢山傷ついた。
特に、代々住み続けてきた故郷に帰ることも出来ない人達や、家族が離れ離れに生活せざるを得ない人達を思うとこれ以上の理不尽は無いと思う。

今、私達が果たす役割とは…
それは、この日本を少しでも良いかたちで次の世代に引き継いでいくことであろう。
大切な故郷を守るためにも、私達は日本人として本質から目を逸らさずしっかり向き合っていくことを
学習しなければならないのだと痛感する。


                                                     かのん
| 認知症・精神疾患 | 22:35 | comments(0) | - | pookmark |
震災の爪痕

震災後、一件一件祈るような想いでの訪問。

通所で排便コントロールが上手くいっていたHさん、震災後便が殆ど出ていない。
被災後体調を崩し入院したKさんの妻は、物資不足のため必要なものを届けられない。
Sさんのお宅は水も物資も調達困難、妻も体調を崩しているという。

安否確認でホッとしたのもつかの間、行く先々で二次的な被災を目の当たりにする。

馴染みのある景色は海岸に近付くほど地獄絵図と化し、独特の空気や臭いが辺りに立ち込めている。

運転しながら異次元の空間にいるような感覚や、得体の知れない恐怖を覚えるほどである。
幻であって欲しいと何度も想う。

被災した翌日の夜空は、満天の星空だった。
田舎育ちの私は、仙台の夜空が明るすぎて星が良く見えないことに寂しさを感じていたのだが、
仙台の夜空が満天の星で埋め尽くされていたことに、こんなに寂しさを感じるとは思わなかった。

フォーレストでは、現在看護スタッフとリハスタッフが同行訪問を開始している。
利用者様の情報や、ニーズの変化を互いに共有し、その場で対応策を講じている。

命が助かったのならば、せめて二次的な被災を最小限にしたい!これが臨床現場にいる私達の共通した想いである。
                                                    かのん

| 認知症・精神疾患 | 20:53 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
「生」と「死」
「生」と「死」
 

 出会いがあれば、必ず別れがやってきます。別れといってもいろいろありますが、この世に「生」を持った以上誰もが避けられないのが「死」です。年明け早々のブログに載せる話題か?と思われる方もいらっしゃると思いますが、「生」とか「死」に遭遇する度、自分の生き方や役割について原点回帰できる機会となっているように感じています。今回は、新年を迎え、原点回帰という視点から、あえて昨年愛する家族の「死」を体験された方のエピソードを少し取り上げてみたいと思います。

 

Kさん

息子さんと二人暮らしのKさん、訪問開始後まもなく家系図を見せられ、大変驚かされたことを今でも時々思い出します。息子さんとの掛け合いが漫才コンビの様で、私も随分大笑いしました。息子さんと二人三脚の生活は大変なことも沢山ありましたが、お二人の明るさに私達はどれだけ助けていただいたことか…。そんなKさんが、最後の一年はほぼベッド上の生活で、入退院の繰り返しでした。「先に逝った母ちゃん(奥さん)が待ってるから早く逝きたい」と洩らすようになってから数ヵ月後、Kさんは静かに母ちゃんの元へ旅立っていきました。お焼香に伺った時、「親父は先に逝ったお袋と今一緒に居るんだと思うと、良かったなあと思うんだ。…俺は色んな人に支えてもらっているから寂しくないよ。」と言った息子さんの背中が丸かったのが、今でも目に焼きついています。

 

Tさん

 片麻痺の奥さんと二人暮らしでしたが、ご結婚以来喧嘩をしたことがないというおしどり夫婦でした。Tさんは、毎日スクラップブックに新聞の気になる記事を貼ることが数十年来の日課で、他にも写真や箸袋収集、石や貝の収集、川柳の投稿、サイクリング等…とにかく多趣味な方でした。特に、ご家族の写真は丁寧にアルバムに整理してあり、沢山見せていただきました。Tさんの認知症が進行し、お二人の生活に限界が見えてきた頃、通所の利用をお勧めしてみました。すると、「そうだなあ、娘も毎日来てくれて大変だし、これ以上心配ばかり掛けていられないか…」と本心は不本意なはずの通所利用に初めて前向きの返事を下さいました。見学の日程も決まった矢先に、ケアマネさんより突然のTさん訃報の知らせ。朝はいつも通りだったのが、奥さんが通所から帰宅した時には既に冷たくなっていたとのこと。お焼香に伺った時、「家族に心配を掛けるのを一番嫌う人だったから、最後まで父らしい生き方だったと思う」と娘さんが涙ながらに話して下さる脇で、奥さんが何度も頷いておられたのが印象的でした。

 

Sさん

 奥さんと娘さんとの三人暮らしでした。Sさんは大変気性が激しい方でしたが、動植物が好きで、様々な鳥や動物を飼い、庭の手入れもマメにされていたそうです。幼少時にご両親を亡くし、孤独な時期も長かったと聞いていましたが、愛情豊かな奥さんと一緒になってからは、80歳を過ぎるまで自身が設立した会社でがむしゃらに働いてこられたそうです。認知症の進行と共に介護負担は大きくなっていきました。一昨年の年明け早々奥様が手首を骨折し入院を勧められたのと同時に、申請していた施設から入所可能との連絡が入りました。誰もが施設入所を疑わなかったのですが、奥様は「この人は家に居たいのだからそうさせてあげたい。骨折の方は、時間は余計にかかるけど治ると聞いたから何とかなるわよ。」と仰いました。それから約1年半、サービスもフル稼働でしたが、奥さんの心配り豊かな食事のメニューやSさんに対する日々のスキンシップには心温まるものがありました。最後の日までしっかり食事を召し上がっておられたそうです。お焼香に伺った時に、奥さんはこれまでのご夫婦の軌跡を沢山お話下さいました。そして最後に「苦労も多かったけど、最後はあまりにもあっけなく逝ってしまったからまだ実感が湧かないのよ…」と。今もなおSさんへの有り余る愛情を感じたひとときでした。

 

私も義父を亡くして3年半経ちますが、今もなお義父が家族の中に何らかの影響を与え、生き続けていることをよく実感します。「身体は借り物で、魂は永遠のもの…」といいますが、例えば生活を共にした家族はもちろん、友人など自分にとって大切な人については同義でこういうことを指すのかなあと思うことがあります。「生」とか「死」を大真面目に考えることって実はとても大切だなあと実感することが多くなってきた今日この頃です。

 
                        かのん                     

| 認知症・精神疾患 | 21:36 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
相談訪問にて…

先日、相談訪問をしたお宅にて…

第一声「あんたは介護保険サービスとはどういうものと捉えているのだ?」と問いかけられた。

なぜこの方は唐突にそういう問いかけをしてくるのだろう?

ケアマネさんからの事前情報で、これまでの経過から病院不信が強く、介護保険サービスも一切拒否しておられると聞いていた。以前にはうつ病の診断も受けている。現在は、階段から転落し腰椎の圧迫骨折を患い、2階の寝室までの移動もままならない状態。介護者である奥様も体調が悪く、めまいや転倒を繰り返している。二人だけの生活ではあまりにもリスクが大きい。

ちょっと話題は逸れるが、サービス拒否が強いがニーズはあるといった方に対し、無料の相談訪問をおこない正式なサービス利用に向けてアプローチを展開することがある。
特に精神疾患や認知症を患っていて強い拒否がある、あるいはサービス利用拒否にいたる何らかの原因を抱えている方に対する導入手段の一つと捉えていただければと思う。(ちなみに3回の訪問で結果を出すことを目安にしている)

取り敢えず、よくよく話を伺ってみることに…

すると、医療機関での一方的な対応やたらいまわし、傷つく言動、介護保険の法の縛りとニーズとの乖離
つらい体験を重ねてこられた経緯を滔々と語り、受けたい医療や介護保険サービスが受けられないのならば、自力でリスク回避や努力をするしかないと腹を括り踏ん張っておられたのであった。

しかし、どこからみてももはや二人のみの生活では限界。

さて、どうしたものか…

このお宅は実調も含め二度目の訪問。実は、一度目の訪問時に
自分のこれまでのことを理解してほしいとアルバムを見せられた。

…若い頃はとてもよくモテた方らしい。今で言うところのイケメンでとてもお洒落だ。
知識欲が絶えず、博学で教養豊か、話題の尽きないタイプ。
趣味も庭弄りや動物の世話、カメラ等かなりマニアックにやっておられたようだ。
また、亭主関白だけど愛妻家であり、奥様の写真が沢山貼られている。
仕事を含め波乱万丈も多々あったようだが、概ねやりたいように生きてこられた姿が
アルバムを通して少し垣間見えた。

今は綱渡りの様な生活で、一見もはや他人に期待もしなければ、今後に希望も持っておられないような印象も受けるが、会話を通して、今でも当時の面影や名残を感じる事が出来る。
また、話の端々から本気で奥様の体調を心配し、現状の自分ではどうしようも出来ないことを嫌というほど実感しておられることも解る。きっと本音の部分では何か策を打たなければならないことは重々承知しておられるのだろう。

多分この方はアルバムを見せたり、会話を通したりしながら私達が信用できる人間かどうか反応を見ているのだ。二度目の訪問の時に「初めて丁寧に話を聞いてもらった」と仰ってくださった時にそう確信した。

さらに、「歩くのが酷くてね…庭の整備を業者さんにやってもらったので、何としても
見ておきたくて頑張って外に出てみたんだけど、20分と立っていられなかった。
歩行器みたいのが使えるといいと思うんだけど…」

これぞチャンスと思い、介護保険で歩行器がレンタルでき、レンタルなら状態に合ったものを借りられるし、変化すれば借り替えられる、要らなくなれば返せば良いことをお伝えした上、差し支えなければ次回デモ品を持参してお邪魔しても良いでしょうか?と尋ねてみた。しばらくデパートのカタログ販売のシルバーカーのページをしばらく眺めておられたが、返答はなかなか返ってこない。

次の訪問が控えていたため、やむを得ずその旨をお伝えしたところ、なぜか立ち上がり、わざわざ階下まで降りて来てくださった。そして、小さな声で「次回よろしく…今日はありがとう」と一言。

「こちらこそありがとうございました。では、次回歩行器お持ちいたしますね!」と満面の笑みの私。
はやくご夫婦で落ち着いた生活ができるようになると良いなあと心から思った。

                                                    かのん






| 認知症・精神疾患 | 21:05 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
予定調和
 10月に手術が決まった。

自分の身体にメスを入れるのは初体験である。
それだけでも恐怖だが、婦人科系だし気持ちはいろんな意味で複雑…

今回は年甲斐もなく泣けて仕方が無かった。

塞ぎ込んでいる私に、夫は「手足が無くなっても自分から奪われなければいい」と言ってくれた。
3人の子供達もそれぞれに私を心配してくれている。
気持ちは随分癒されているはずなのに、やっぱり葛藤の波は襲ってくる。
もっと大変な人たちが沢山居るのに、私ってこんなに弱かったっけ?

そんな時、高校時代の友人からメールが届いた。
「二度目の結婚をしました、今フランスに住んでいます」とのこと。
しかも、最愛のパートナーとの間に新しい命が宿ったという。

彼女は、以前にもブログに掲載させてもらったが、数年前に乳癌を患い、その後治療を受けながら
ピンクリボン運動等を積極的に行っている。
いろいろあって実家に戻っていたのだが、今回そんなメールが届いたのだ。

葛藤しながら、何となく彼女のことが脳裏によぎっていた矢先のメールだった。
すぐさま思いのたけを綴って返信したら、8月に帰国するから会おうという話になった。

不思議なことに、それだけでスッと気持ちが軽くなって力が湧いてきた。
やりとりしながら、彼女が「きっと私呼ばれたんだね」と言った。
こういうのって予定調和っていうのだろうか?

起こるべくして起こったり、出会うべくして出会ったりしていると感じる事が
皆さんも経験があるのではないだろうか?

人生って楽しいかも…

                                         かのん
| 認知症・精神疾患 | 22:20 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
癒し
 「あんたに俺達の気持ちの何が解るんだ!」
というご長男の一言から始まった訪問。
ご本人様も「何しに来んの?来てもらう必要はないから。」とピシャリ。

さて…どうしようか…

まず、ご家族の話をとにかく傾聴。「俺達の気持ちの何が解るんだ!」の背景はなんだろう?
ケアマネージャーさんや通所スタッフの方との密な情報交換
そして、ご本人様が今何を感じ、どんな想いで生きているのか…やはり傾聴、そして傾聴…

ある日の訪問時、主介護者であるご長男のお嫁さんが、
「おばあちゃん子だった自分が、気持ちが解るのにどうしても姑を好きになれず優しくしてあげられない。自分の対応はネグレクトだと思う。」
安定剤を服用したりカウンセリングを受けてもなお、不安や葛藤に苦しむ気持ちの内や、ご家族間の様々なエピソードを徐々に打ち明けて下さるようになった。

そして数年後…

「デイサービスは仲間が居るから楽しいし、ショートステイはのんびり出来ていいね、洗濯物も多いから、手伝ってやると助かるようだし、どうせ暇だからたたんだりするのよ。時々繕い物も頼まれたりするんだよ」とご本人様。あれほど嫌がっていたショートステイも今では楽しみの一つの様。さらに、「私がショートステイに行くと家族も助かることがあると思う。出来ることはお互い協力しなくちゃね」とも仰った時には正直言って驚いた。

「あのね、相談があるんだけど…家族みんなで旅行に行こうと思って…。近場ならおばあさん混乱無く行けるかしら…どんなこと注意すればいいかしら?」とお嫁さん。

最初の旅行を無事に終えたことをきっかけに、家族旅行の機会が増え、この間お孫さんの結婚や曾孫さんの誕生もあり、家族旅行のメンバーも増えてきた。

最近の訪問では…

(私に対して)「これ桜茶よ、ぜひ飲んでみて!あなたの様な仕事をしていると忙しいだろうし、なかなか気持ちのゆとりを持つ時間が取れないだろうから、たまにはこういうのもいいんじゃないかと思って…」

とか

「何かあればいつでも相談に乗ってもらえる安心感があるからこうやっていられるようになったの。最近新しい夢があってね…いつか今までお世話になった施設にボランティアとして何か役に立てることを恩返ししたいと思っているの。」

とか笑顔で話して下さるお嫁さん。

今では私が癒されていることの方が実は多いかも…
ご長男もご自身の夢を実現するべく活動を始められたとのこと。

人間の持つ力ってすごいなあ! 

                                                   かのん






| 認知症・精神疾患 | 22:05 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
認知症の移行支援について
  最近の訪問のオーダーで、最も多いのが「移行支援」である。ここで言う移行支援とは、在宅で介護を受けている方が専門医の受診や、デイサービスやショートステイが利用できるよう支援することである。

私が訪問させて頂いている方は、認知症や精神機能に何らかの疾患や障害を抱えた方が大半である。例えば、相談を受けた包括支援センターの相談員さんやケアマネージャーさんが、デイサービス等の利用が必要と考え、サービス利用にスムーズに繋がる様な方のオーダーは、訪問リハビリで移行支援が目的の場合まず皆無である。
つまり、これまでどんな手段をつくしてもサービスに繋がらなかった方について、訪問リハビリのオーダーを頂く印象が強い。訪問リハビリにおける移行支援は最後の砦であり、頼みの綱の様な存在なのかもしれないと感じることがある。

ところが、スムーズに移行出来れば格好良いのだが、実際はなかなかそうも行かず、かなり苦しむことが多いものである。スムーズに移行出来るのは3〜4割程度だろうか。

移行支援の難しさの原因は大きく四つあるのではないかと捉えている。

一つ目は疲れやすさである。サービスに繋がらない方からよく聞かれる言葉に、「疲れている感じが続いているし、外に出るのはやんだ。これ以上疲れたくないし、デイサービスなんか絶対行きたくない。」というものがある。さらに、「この年にならないあんた達には俺達のことは理解できない」と言われると、全くその通りだと頷いてしまうこともしばしば…。認知症に限らず、脳疾患を患う方は一般的に持続的に疲れやすさを感じている傾向があると言われている。確かに私達若い世代?でも、疲れている時に何か要求されたら煩わしいとか面倒と感じて当たり前ではないだろうか?

そう考えると、持続的に疲労を感じている人に対する移行支援とは、大変煩わしく面倒なことを要求するということなのだろうか?本当に移行支援って必要なの??みなさんはそんな疑問を感じたことがないだろうか?

この場合は主治医(専門医)との連携が一つの鍵となる。服薬調整の他、内科的な要因に対応することで進展に繋がる場合がある。他にはモチベーションに繋がる目的を見出すことで進展する場合もあるが、初期の介入程進展しやすいことを実感している。中期以降の場合は、2〜3日のショートから導入した方が移行がスムーズであることも多い。

二つ目は破局反応の回避と言われるものである。破局反応とは、処理しきれない課題や状況下に置かれた時に、どうしてよいか判らず極度の不安状態に陥ることである。破局反応の回避とは、破局反応という深刻な危機を避ける必要から回避しようとする人間としての自然な反応のことを言う。
特に初期の認知症の方はこれまで当たり前に出来ていたことが十分に遂行出来なくなってきた事を感じるにつれて、自宅に引きこもったり、着替えをしたがらなくなったりと、ご家族が心配や負担に感じる状況に陥っていくことが多い。こういった反応は、記銘力の低下や失行、失認、失語、見当識の低下といった中核症状に伴う防御反応とも言えるのだろう。某法人の研修会に参加した時に、講師のY先生が「そもそも動物は死に無自覚(いずれ死ぬ身であるという実感をなかなか持ち得ない)であることを考えれば、これ(破局反応の回避)こそが生体の摂理かも知れず、生きるために忘れるようにはじめから創られているということです」と仰っていた。

となると、こういった生体の自然な摂理である破局反応の回避と言える反応が、外部の社会資源利用拒否に繋がっている方に対して移行支援を行うのは、人間の防御反応を脅かすかなり乱暴なことに繋がる可能性を孕んでいるとも言えるのではないだろうか?

三つ目は病態失認的傾向と言われるものである。病態が重いほど自身の病気や状態に気が付けない傾向がある。介護者の負担が大きいにもかかわらず、ご本人は「自分はどこも悪くない、だからサービスを利用する必要は無い」と反応するパターンが多い。しかし、これがすっかり病態失認なのであれば対応策も打ち出しやすいのだが、人間そう単純ではない。大抵は破局反応の回避も微妙に絡んでいる様に感じている。背景に漠然とした喪失感や孤独感を抱えながら「どこも悪くない!」と頑張り、介護をとことん拒否するという防御パターンを取らざるを得ない病態なのかなあ、と思うのである。

二つ目や三つ目のパターンの場合、出来る限りソフトランディング出来るようあらゆる手段を駆使する。その人の病態や家族機能、生活背景などをよく知るほどスムーズに進展することが多いが、病気が進行してようやく進展に至ることもある。進展する前に介護者が在宅介護をギブアップすることが多いのもこのパターンである。

四つ目はご家族にキーパーソンが居ない、或いは介護者とキーパーソンが別で、キーパーソンが同居していない場合である。特にキーパーソンが居ないお宅は生活自体がままならない状況に陥っていることが多い。生活全般が混乱しているとか、惨憺たる状況でも気付けないとか、困っていても為す術がないとか…。

この場合は行政も含め可能な限りのサービスや支援法を駆使し、外堀から攻めていくことが多いが、サービスの介入自体が困難な場合も多いものである。結果的には施設入所に移行することも多いのが現状である。

そんなこんなで常々葛藤や無力感を感じ、抱えていることも多いのだが、それでもやはり移行支援は大切な訪問の目的となりうるのである。

それは利用者さんご本人が、何らかの形で社会との繋がりを持つことが心身機能の維持に繋がり、病気の進行を遅らすことに繋がることが一つ、ご家族の介護負担軽減に繋がることが一つ、そして究極的には、家族が互いを大切に思いながら、住み慣れた家でより長く一緒に生活出来る為には欠かせない手段だからである。

どんなタイプの通所なら馴染めるだろうか、今持っている能力を活かせるだろうか、ご家族が安心できるだろうか、どんな頻度でショートと通所のバランスを取ったら混乱が最小限に抑えられるだろうか、外に出たくない理由は何だろうか、どんな手段ならお試し利用に応じて頂けるだろうか、服薬調整の可能性は?等々…     

試行錯誤、格闘の日々である。

これまで様々な通所やショート先にお世話になり、協力し合い、助けられているが、一方でその有り様についてはまだまだ課題も山積しているのが現状である。地域格差や目的や役割、医療依存度の高い利用者さんの受け皿の乏しさ等…この話題は書き始まると長くなりそうなので、また別の機会にしよう。

                                                        かのん




| 認知症・精神疾患 | 22:54 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
今が身頃!「塩竃桜」
 
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| 認知症・精神疾患 | 22:34 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
スズメ
 Sさんがまだ歩けていた頃、ベランダでスズメに餌付けを始めたところ、片隅に巣を作るようになったのだそうです。今年もこの桜の時期から巣作りを始めたようで、訪問中も親鳥が頻繁に行き来しています。

「スズメってすごいんだよ、木の枝とか藁とか一本ずつ何度も何度も運んで巣を作るんだよね、時々衣文掛けなんか運ぼうとして途中で落とすこともあるんだけどネ!(笑)
そして、子供が生まれるともっとすごいんだよ、とにかく一日中暇無く雛のためにミミズとか餌を運び続けるんだよね〜!巣立つまで何度も何度も…スズメ観てるとさあ、私も子育て頑張らないと!って思わせられるんだ〜。長生きしなきゃネ!」

Sさんは現在ほぼベッド上での生活です。体調も日々変化する中、二人の息子さん達と支えあって生きています。下の息子さんはまだ小学生ですが、「母さんの病気を治すために医者になるんだ」
と、往診の先生の診察をよく観ているそうです。ゲーム機のカメラを利用し、外に咲いている花や景色を撮って母さんに見せてくれたりもします。また、普段から排泄の手伝いも当たり前におこない(ちなみに全介助です)、母さんが具合悪そうにしている時はさっと体温計をはさめてくれたりもするなかなか頼もしいお子さんです。上の息子さんは無口ですが気持ちの優しいお兄ちゃんで、母さんや弟をしっかり支え守っています。そんな日常生活の中、このスズメの巣作りから子育て時期は、Sさんにとってベッドから観察することの出来る毎年の楽しみの一つなのだそうです。

Sさん、頑張って体力付けて、子供達と夏の花火大会見に行きましょうネ!


                                        by かのん

| 認知症・精神疾患 | 21:59 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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